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12 年目

誕生日や新年になると、また一つ歳を取った(取る)なあ、と思う。私には、もしかすると私だけではなく当時あそこにいた人たちにとって、自分がまた一つ歳を取ってしまった、と感じる日がもう一つある。1.17 だ。
あれから 12 年が経過した。時間の経過とともに、リアルな感覚は薄れていく。人の口に上ることも滅多になくなった。街も復興した。一部には振るわなくなってしまった産業もあるだろうが、かといって世間の動きが滞る訳でもない。私はといえば、大した被害を受けたわけでもない。家族も殆どの友人も無事だし、家もある。壊れたものは多々あるが、お金で何とかできるようなものばかりだ。楽観的な私はのうのうと、この 12 年間を過ごしてきた。そんなもんだ。周りも、自分も。
それでもあの日を思い出すと感じられることは、冷えた感覚、大きな喪失感だ。形にならない巨大なものを失ったような、鈍い道具で大きく抉り取られたような。
人は一瞬で無力化する。環境は一瞬で崩壊する。1.17 は、私の中での安全神話の命日だ。勿論、負の影響ばかりだということではない。ただ、人とは、世の中とはそんなものだ、ということを強烈に意識させられた、というだけだ。それだけだ。
1.17 の白い息には、終戦記念日のセミの声に似たような、心苦しさがある。
by hiranori | 2007-01-17 23:59 | 考え事


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